損害保険の保険申し込みから契約成立までの流れ
損害保険への加入方法はいくつかあり、保険代理店や勤務している会社の制度によるものや、インターネットで直接契約することもできます。
どの加入方法でもまず重要なのは、補償内容を十分に理解して自分に合った保険商品を選択することです。
ここでは契約までの流れを紹介します。
損害保険の補償内容を理解する
方法 | 備考 |
---|---|
保険代理店・カスタマーセンター | 理解できるまで質問しましょう。 |
契約のしおり・パンフレット | 契約のしおりは契約や補償内容で特に重要なことをまとめて記載してあり、パンフレットと合わせて参照すると理解が深まります。 |
重要事項説明書 | 保険契約時には保険会社は提示が義務付けられている書類で、保険商品における重要なことが確認できます。 |
補償内容の主な確認事項
◇保険の補償内容は自分が希望している補償に合致しているか
◇付加できる特約と概要
◇保険金の支払い条件にどのような制限があるか
◇補償金額に上限があるか
◇免責金額の設定
損害保険の申し込みから契約までの流れ
保険の補償内容を確認し、見積もりを取って納得すれば申し込み手続きに入ります。
大まかにいうと、申し込みをして保険料を払い込み、保険証券が手元にくれば契約手続き完了となります。
ステップ | 手続き | 内容 |
---|---|---|
1 | 補償内容を検討 | パンフレットやカスタマーサービスやWebサイト、代理店に相談などして補償内容を検討する。可能であれば契約のしおりや重要事項説明書も参照。 |
2 | 保険料の見積もり | 代理店や保険会社のサイトなどで見積もりを取る。複数見積もって比較検討を。 |
3 | 商品内容・重要事項の確認 | 保険会社と商品を決めたら契約のしおりや重要事項説明書の内容をしっかり確認。不明な点は理解するまで説明を受ける。 |
4 | 申し込み | 所定の申込書に必要事項を記入し、署名・押印のうえ保険会社もしくは保険代理店に提出。 |
5 | 保険料の支払い | 現金振り込み・コンビニ払い・口座振替・クレジットカード払いいずれかで保険料を支払う。 |
6 | 契約の成立 | 保険会社あるいは代理店が申し込み書および保険料の振り込みを確認した時点で契約が成立します。 |
7 | 保険証券の受領 | 申し込み後、1~2週間程度で保険証券が手元に届きます。契約内容に誤りはないか、保険証券が届いた時点で確認しましょう。 |
契約における重要ポイント
重要事項説明書の理解
損害保険の申し込み時に代理店もしくは保険会社から「重要事項説明書」が届きます。
この「重要事項説明書」は、損害保険を契約する前に確認する必要がある「契約概要」「注意喚起情報」という二つの重要な事柄が記載されています。
◇商品の仕組み
◇主な補償の内容
◇付加できる主な特約およびその概要
◇引受条件
◇保険期間
◇保険料
◇保険料の払込方法
◇満期返戻金
◇契約者配当金
◇解約返戻金の有無
特に商品の仕組みと補償内容について、
誰(何)がどのような条件下で補償されるのか
をしっかりと確認しておきましょう。
例えば傷害保険では医師による治療が条件で、接骨院での治療は支払い対象外となります。
◇クーリング・オフ
◇告知義務、通知義務
◇保険の責任開始期や終期
◇保険金が支払われない主な場合
◇保険料の払込猶予期間
◇契約の無効、取り消し、失効
◇解約と解約返戻金
◇保険会社が破たんした場合
特に注意しておきたいのが「告知義務、通知義務」で、保険申し込み時には保険契約に必要な事柄を保険会社に告知する必要があります。
また申し込み時に告知した内容に変更が生じた場合は保険会社に通知する必要があり、告知内容を正確に伝えていないと契約が解除されたり保険金が支払われない場合があります。
告知事項の正確な記入
保険会社は商品の内容を説明する義務がある一方、加入者は保険の契約に必要な情報を保険会社に正確に伝える必要(告知義務)があります。
保険種類ごとの告知事項
◇自動車の情報(車名・登録番号・形式・車種・使用目的など)
◇主な運転者の情報(氏名・生年月日・免許証の色など)
◇前契約や他の自動車保険契約等の情報(証券番号・等級・契約期間・事故の有無など)
◇建物や家財の所在地
◇構造や用途についての情報(建物の構造・建物の用途・面積など)
◇前契約や他の自動車保険契約等の情報(証券番号・等級・契約期間・事故の有無など)
◇職業や職種についての情報(事務職、運転手など)
◇氏名、生年月日
◇他の保険契約の有無
告知義務違反をすると
故意もしくは重大な過失により正しい告知が行われなかった場合のことを告知義務違反と言い、違反が発覚した場合保険会社は契約を解除することができます。
このような場合、保険金は契約解除後はもちろん、解除前の事故についても保険金は支払われず、解除前に支払われた保険金があった場合は保険会社から返還請求されます。
ただし、告知義務違反でも違反内容と事故による損害に因果関係がない場合は保険金が支払われます。
告知義務違反でも保険金が支払われるケースは下記サイトを参照ください。
日本損害保険協会 損害保険Q&A Web版「そんぽ相談ガイド」
共通>Ⅳ.損害保険の契約について>解除による効果の2
契約前の最終チェックポイント
署名・押印前に、契約しようとしている補償内容に間違いがないか、申込書を最終確認しましょう。
また重要事項説明書や告知義務についても再度内容を確認し、不明点あれば理解できるまで説明を受けましょう。
不明点がなくなり、十分納得できてから契約書に署名・押印しましょう。
自動車保険の最終確認ポイント
チェックポイント | チェック内容 |
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補償対象となる人の情報 | ◇保険金額の設定は適切か ◇契約主体となる「自動車を主に運転する人」が「記名保険者」になっているか ◇免許証の色と次回免許更新年月は正しいか |
車の情報 | 形式、初年度登録年月、用途や車種、使用目的は正しいか |
前年の契約内容 | 前年の保険契約の等級や事故件数は正しいか |
契約内容 | ◇運転者の年齢条件は適切か ◇運転者限定の特約は適切か |
火災保険の最終確認ポイント
チェックポイント | チェック内容 |
---|---|
保険の対象 | 建物や家財や明記物件(30万円を超える宝飾品など)などが保険の対象として間違っていないか |
建物の用途 | 専用住宅や共同住宅、併用住宅など、建物の用途に間違いはないか |
建物や家財の所有者 | ◇契約者と所有者は同じか ◇違う場合は申込書に記載しているか |
建物や家財の所在地 | ◇契約者と所有者の所在地は同じか ◇違う場合は申込書に記載しているか |
建物の構造 | 構造等級に誤りはないか |
保険金額の設定 | 保険金額の設定は適切か |
傷害保険の最終確認ポイント
チェックポイント | チェック内容 |
---|---|
保険の対象 | 建物や家財や明記物件(30万円を超える宝飾品など)などが保険の対象として間違っていないか |
建物の用途 | 専用住宅や共同住宅、併用住宅など、建物の用途は間違いないか |
建物や家財の所有者 | ◇契約者と所有者は同じか ◇違う場合は申込書に記載しているか |
契約手続きが終わったら保険料を払い込む
申込書の署名・押印が完了したら保険料を支払います。
気を付けておきたいのが、保険料を支払う前に生じた事故については保険金が支払われません。
現金振り込みであれば振込完了、口座振替であれば引き落とし完了、クレジットカードであればカード承認完了が保険料支払い完了のタイミングとなります。
なお、口座振替の場合手続きから引き落としまで時間がかかりますが、引き落とし確認が取れればそれ以前の事故でも補償されることになっています。
いずれにせよ、申し込みが完了したら速やかに保険料を支払いましょう。
保険料の払込方法について
保険料の払込には、下記二つがあります。
◇一括払い・・・保険契約期間の保険料全額を一括で支払う
◇分割払い・・・毎月や1年ごとなど、保険料を分割で支払う
いずれの場合でも、保険料の払込が完了した時点で保険金が支払われるようになるので、例えば口座の残高不足で払い込めないことのないよう、確実に払込みができるように準備しておきましょう。
契約の撤回について
「申し込みはしたがやはり契約を撤回したい」場合は、一定の条件を満たせば申し込みの解除または契約を解約することができます。
これをクーリング・オフと言いますが、クーリング・オフができるのは基本的に
保険期間が1年を超える契約
に限られます。またクーリング・オフの申込みは、契約を申し込んだ日かクーリング・オフの説明書を受け取った日のいずれか遅い日から起算して
8日以内に書面で
必要事項を記入して保険会社に郵送する必要があり、保険代理店で契約した場合もクーリング・オフの申込みは保険会社に対して行います。
◇クーリング・オフの意思を文章で記載
◇契約者の住所、氏名、押印、電話番号
◇契約を申し込んだ年月日
◇契約した保険種類
◇証券番号または領収番号
◇取扱い代理店
◇返金振り込み先の口座情報
書面を提出した日からクーリング・オフの効力は生じ、すでに払い込んだ保険料は全額払い戻されます。