競技車両製作のポイント

2017年3月1日

カテゴリやドライバーによって走る環境や競技車に求められる性能および仕様が異なるので一概には言えませんが、ここでは競技車の一般的なチューンアップポイントを説明します。

足回り関係のチューンアップポイント

スプリング

スプリングはカテゴリや車種によってその硬さと自由長(スプリング自体の長さ)を調整します。

スプリングの長さは車種によってある程度決まるのですが、例えば車高を下げるために短くしすぎると路面から衝撃でスプリングが縮みきってしまう(線間密着)ことが考えられます。

スプリングの硬さはkg/mmという単位で表現され、スプリングを1mm縮ませるのに何kgの力が必要か、という意味を持ちます。

つまり数字が大きくなるほどスプリングは硬く、小さくなるほど柔らかくなります。
例えば5kg/mmのスプリングだと1mm縮ませるのに5kgの力が必要で、10kg/mmだと1mm縮ませるのに10kgの力が必要ということです。

スプリングを硬くすると縮みにくく路面への接地性が増し整地された路面では速く走れるのですが、例えば路面にギャップなどがあるとスプリングが縮む余裕があまりないため、ギャップに車が乗り上げた時の路面からの衝撃を吸収しきれず車が跳ねるし、スプリングが縮みにくいのでブレーキングによるフロントタイヤへの荷重移動も難しくなります。

スプリングが柔らかい場合はこの逆で、荒れた路面でもスプリングが路面からの衝撃を吸収して走りやすくなりますが、その反面車の挙動が大きくなるので速く走りづらくなります。

一般的にはレースやジムカーナなどの舗装路面ではスプリングを硬く、ラリーやダートラなどのダートではスプリングを柔らかくします。

スプリングを硬くすると車の荷重移動もそれに比例して難しくなるため、どんなカテゴリでも初心者のころはそのカテゴリに合った柔らかめのスプリングセットから始め、ブレーキングでの荷重移動とステアリングとのバランスが上手くなってきたらスプリングレートを上げていくのがおすすめです。

スプリングセッティング早見表

コーナーの種類アプローチ車の状態対処法
極・低速コーナー
(サイドターン)
進入アンダーフロントスプリングを柔らかくする
オーバー問題なし
立ち上がりアンダーフロントスプリングを柔らかくするかリヤスプリングを硬くする
オーバーリヤスプリングを柔らかくする
低速コーナー進入アンダーフロントスプリングを柔らかくする
オーバーフロントスプリングを硬くする
立ち上がりアンダーリヤスプリングを硬くする
オーバーリヤスプリングを柔らかくする
中・高速コーナー進入アンダーフロントスプリングを柔らかくする
オーバーフロントスプリングを硬くする
立ち上がりアンダーリヤスプリングを硬くする
オーバーリヤスプリングを柔らかくする

ダンパー(ショックアブソーバー)

ダンパーはスプリングの伸び縮みの速度を抑えるための部品で、これがないとスプリングはいつまでもびよんびよんと伸び縮みを繰り返してとても乗っていられる車ではなくなります笑

なんて話はさておき、基本的にはスプリングレートを決めてからダンパーの減衰力を設定します。

ダンパーの減衰力の調整で車のピッチング量やロール量を調整することもできるのですが、スプリングレートとの兼ね合いもあり、とてもひとことで調整を語ることはできません。

主観ですが、基本的な車の動きはスプリングで決め、ピッチングの微調整やロールスピード(ロール量ではない)をダンパーで行なうのがいいと思います。

どのカテゴリや車種でも推奨のダンパーセットがありますので、まずはそこから始めてタイムアップに悩んできたらスプリングとセットで調整するようにしましょう。

ショックアブソーバーセッティング早見表

コーナーの種類アプローチ車の状態対処法
極・低速コーナー
(サイドターン)
進入アンダーフロント減衰力を下げる
オーバー問題なし
立ち上がりアンダーリヤ減衰力を上げる
オーバーリヤ減衰力を下げる
低速コーナー進入アンダーフロント減衰力を下げてリヤ減衰力を上げる
オーバーそのままか好みによってフロント減衰力を上げてリヤ減衰力を下げる
立ち上がりアンダーFWDならリヤ減衰力を上げてRWDならフロント減衰力を下げる
オーバーリヤ減衰力を下げる
中・高速コーナー進入アンダーリヤ減衰力を上げる
オーバーそのままか好みによってリヤ減衰力を下げる
立ち上がりアンダーリヤ減衰力を上げる
オーバーリヤ減衰力を下げる

機械式LSD

ビスカス式やトルセン式もありますが、ここでは今でも主流なクラッチプレート式に限定して紹介します。
クラッチプレート式LSDには3種類のタイプがあり、効きの強さ(直進性)が異なります。

◇1Way
アクセルON時のみ作動。扱いやすい(車を曲げやすい)。
◇1.5Way
1Wayと2Wayの中間の動作。車の駆動方式を問わず装着可能。
◇2Way
アクセルON/OFFとも作動。
常に作動しているので直進性やトラクションは抜群だが車を曲げにくくなる。

カテゴリや車種、ドライバーの好みや運転スタイルによってセッティングは異なりますが、基本的には駆動輪に1Wayもしくは1.5Wayを使うのがおすすめです。

ただし例えばジムカーナのFF車など、カテゴリや車種によっては2Way(巻き込みやすくなる)のほうが良かったり、4WDでLSDをフロント、センター、リヤにセットする場合はドライバーの好みによってセッティングが異なってきます。

イニシャルトルクはあまり強すぎるとダメ

◇イニシャルトルクってそもそも何?
最初からある程度の力(トルク)でクラッチプレートを押しつけておくことを指し、イニシャルトルクを設定することによってアクセルオン時のタイムラグを低減します。
アクセルのON/OFFを煩雑に行なうジムカーナでは特に重要です。

◇イニシャルトルクが強すぎると?
例えば1WayのLSDでイニシャルトルクをおおよそ20kg-m以上にセッティングすると、効きが強すぎてアクセルOFF時でもLSDが効いてしまうことになります(本来1WayのLSDはアクセルON時のみ作動するもの)。

おおよその目安ですが、フロントLSDでイニシャルトルクは10~15kg-m程度までに抑えたほうがいいでしょう。

駆動方式別LSDイニシャルトルクセッティング早見表

FWD(フロントLSD)編

コーナーの種類アプローチ車の状態対処法
極・低速コーナー
(サイドターン)
進入アンダー今より効きを下げるか2→1.5Wayのように効きがマイルドなタイプに変更する
オーバー問題なし
立ち上がりアンダー効きを上げる
オーバー効きを下げる
低速コーナー進入アンダー効きを下げる
オーバー今より効きを上げるか1.5→2Wayのように効きが強いタイプに変更する
立ち上がりアンダー効きを上げる
オーバー効きを下げる
中・高速コーナー進入アンダー今より効きを下げるか2→1.5Wayのように効きがマイルドなタイプに変更する
オーバー効きを上げる
立ち上がりアンダー効きを上げる
オーバー効きを下げる

RWD(リヤLSD)編

コーナーの種類アプローチ車の状態対処法
極・低速コーナー
(サイドターン)
進入アンダー効きを下げる
オーバー問題なし
立ち上がりアンダー効きを下げる
オーバー効きを若干下げる
低速コーナー進入アンダー基本的には出ないはず。他の足回りセッティングの見直し。
オーバー今より効きを上げるか1.5→2Wayのように効きが強いタイプに変更する
立ち上がりアンダー効きを下げる
オーバー効きを下げる
中・高速コーナー進入アンダー今より効きを下げるか2→1.5Wayのように効きがマイルドなタイプに変更する
オーバー今より効きを上げるか1.5→2Wayのように効きが強いタイプに変更する
立ち上がりアンダー効きを下げる
オーバー効きを下げる

4WD(フロント/センター/リヤLSD)編

コーナーの種類コーナーアプローチ車の状態対処法
フロントセンターリヤ
極・低速コーナー
(サイドターン)
進入アンダー効きを若干下げる効きを若干下げる現状のまま
オーバー基本的に問題なし(カウンターの戻しに注意)
立ち上がりアンダー現状のまま効きを下げる現状のまま
オーバー基本的には出ないはず。他の足回りセッティングを見直し。
低速コーナー進入アンダー効きを若干下げる効きを若干下げる現状のまま
オーバー基本的には出ないはず。他の足回りセッティングを見直し。
立ち上がりアンダー現状のまま効きを下げる現状のまま
オーバー基本的に問題なし(カウンターの戻しに注意)
中・高速コーナー進入アンダー効きを下げる効きを下げる効きを若干下げる
オーバー基本的に問題なし(カウンターの戻しに注意)
立ち上がりアンダー効きを下げる効きを下げる現状のまま
オーバー基本的に問題なし(カウンターの戻しに注意)

4WDドライビングタイプ別LSDセッティング編

FWDのような挙動RWDのような挙動4WD初・中級者4WD上級者
フロント
センター
リヤ
ドライビング
スタイル
ステアリング重視アクセル重視曲がりやすさ重視トラクション重視

ブレーキ関係

ブレーキパッド

ブレーキはパッドの素材によって効き具合が違います。
レースでは高温でも長時間効きが持つパッドが必要だし、逆にジムカーナでは低温でもすぐに効くブレーキパッドが求められます。

ブレーキ周りでもローターやキャリパーは自家用車が兼用できるNゼロ/ラリー/ジムカーナ/ダートラでは基本的に改造が認められていないのですが、ブレーキパッドの材質変更はOKの場合がほとんどなので、競技にあったブレーキパッドに交換しておきましょう。

ブレーキパッド一覧表

タッチコントロール性ローター攻撃性パッドの持ち使用場所価格
アスベスト普通広い弱い普通フロント安い
ノンアスベスト柔らかいやや広いやや弱いやや悪いリヤ(一部フロント)やや安い
セミメタル若干硬いやや狭いやや強いやや良いフロントやや高い
フルメタル硬い狭い強い良いリヤ高い

ブレーキホース(ブレーキライン)

ブレーキホースは基本的に純正はゴム製のため、経年変化によって劣化します。
また純正のゴム製のブレーキホースは、ブレーキをかけたときにブレーキホースが若干膨張してブレーキの圧が逃げるため、特にジムカーナのような繊細なブレーキタッチが求められる競技の場合は、ブレーキタッチや効きを良くするためにブレーキホースをステンレスやアルミのメッシュホース(ブレーキホースの周りをアルミもしくはステンレスで包んで編み込んだもの)に変更する場合があります。

メッシュブレーキホースのイメージ

brakelineメッシュブレーキホースにすればゴム製と比較して耐久性があがり、ブレーキタッチのフィーリングもカッチリとしたものになります。

なおブレーキホースは重要保安部品のため、整備工場で整備士に交換を行ってもらうことを強くおすすめします。

ブレーキオイル

ブレーキオイルの役割は、フットブレーキペダルからの圧力をブレーキホースを通してホイールの中にあるブレーキ(キャリパー・ピストン)まで伝達することです。

ブレーキオイルがフットブレーキペダルからの圧力でブレーキパッドを裏からピストンで押し込むことによってブレーキパッドがディスクローターを挟み込み、摩擦熱によってタイヤの回転を抑えることで車のスピードを制御しています。

なので、ブレーキオイルには常にブレーキをかけた時の摩擦熱が伝わることになり、劣化しやすい環境にあると言えます。

よって、ブレーキオイルは極低温でもあまり凍結せず、高温下でもすぐには沸騰しないような成分で作られており、一般的にDOT規格「アメリカの交通省(Department of Transportation)の規格」に従った製品が販売されています。

ブレーキオイル(DOT規格)一覧表

基 準用途ドライ沸点ウェット沸点粘度(100℃)粘度(-40℃)ph値
DOT 3一般車輌用(小中排気量、軽量車)205℃以上140℃以上1.5cst以上1500cst以下7.0-11.5
DOT 4一般車輌用(大排気量、重量車)、スポーツ走行用230℃以上155℃以上1.5cst以上1800cst以下7.0-11.5
DOT 5.1一般車輌寒冷地用(大排気量、重量車)、スポーツ走行用260℃以上180℃以上1.5cst以上900cst以下7.0-11.5
DOT 5特殊車輌用(ハマー、ハーレーダビッドソン)260℃以上180℃以上1.5cst以上900cst以下7.0-11.5

◇ ドライ沸点…吸湿率 0%時の沸点で、新品時の沸点を指します。
◇ ウェット沸点…吸湿率 3.7%時の沸点で、1~2年間使用後の沸点を指します。
◇ 粘度…ブレーキフルードの流動性を示す数値で、数値が大きいと固くなり流動性が悪くなります。この数値が高いオイルは低温時にABSの作動性に悪影響を及ぼします。
◇ ph値…酸性/アルカリ性を表す数値で、7.0以下だと酸性度が強くなり、周辺部品の腐食が早くなります。

ただし、モータースポーツのようにブレーキを酷使して通常走行ではありえないような高温下になる場合は、より熱に強い規格のブレーキオイルに変更することをおすすめします。

ジムカーナ・ラリー・ダートラの一般公道を走行する車両はDOT4以上を、Nゼロ、レースのサーキットを走る車両は上記DOT規格ではなく、より沸点の高いレース専用ブレーキオイルを使用しましょう。

ボディ補強

ロールバーやタワーバーも広義ではこの部類に入ります。
ボディは走りながらヨレたりねじれたりしているので、例えば足回りをどんなに強化してもボディがしっかりしていないと結局路面への接地性が悪くなり本来の足回りの性能を発揮できません。

競技レギュレーションによって施工できない補強もありますが、ボディを硬くすることによってボディのよれやねじれを抑え、足回りやブレーキの本来の性能を発揮させるのが目的です。

【ボディ補強の例】
◇スポット溶接
◇パネルボンド溶接(スポット溶接の代わりにボンドを使用することでコストが抑えられる)
◇ロールバー
◇ストラットタワーバー
◇ロアアームバー
◇ドアスタビライザー
◇サイドシルウレタン補強 など

ボディをガチガチにすればいいというわけでもなく、どのような場所をどの程度補強するかは車種やカテゴリ、そしてドライバーによって異なるのでノウハウのあるモータースポーツショップにお任せするのが一番なのですが、基本的にはボディの弱い部分、開口部の大きなリアハッチ周りやストラットの付け根などを補強するのがおすすめです。

競技車のチューンアップポイント

レースカー(Nゼロ)

レギュレーションが厳密に決められているため、改造範囲が狭く車の性能差はほとんどありません。
とはいえ足回りやデフは改造が可能なため、競技車の駆動方式や参戦するレースの主要サーキットに合わせてチューンするといいでしょう。

参考例として、マツダロードスター(NA6CE)Nゼロ仕様のスプリングとデフの仕様を記載します。

◇スプリングレート
フロント:11kg/mm
リア:13kg/mm

◇機械式LSD
2Way(イニシャルトルク20kg)

ラリーカー

’公道を走る’というのが大前提なので、特に足回りのセッティングが重要になります。

ストロークが取れればいいのですが、スプリングとショックの変更しかできないので、

’硬すぎず、柔らかすぎず’

というところですかね。

サーキット仕様のようなガチガチの足回りだと、ちょっとしたギャップでも飛ばされておっかなくてアクセル踏めません。

ターマックの後にダート林道全開!てな競技もあるので、

’自分にあった足回りの妥協点を見つける’

のがポイントでしょうか。

足回りのセッティングに関してはラリー専門ショップや足回りを専門にしているショップに相談することをお勧めします。

その他は主に、’安全性を上げる’ ための改造になります。

公道を競技車で走るということは、イコール車検にも通る車、なので、エンジン本体の改造はもちろん、基本的に吸排気系の改造もできません。

ただ石ころゴロゴロ!みたいな林道も全開で走る場合があるので、下回りを補強してないと、オイル漏れから出火!になるかもしれません。

ガードレールのない道から転がって落ちた!なんてのも結構あるので、ロールバーやガード類は必須と考えてください。

ボディ関連

補強

ダート林道とかを全開で走るので、とにかくボディへのストレスが半端ないです。
ボディにクラックが入ったりなんてのは珍しくなく、補強するには内装を全部剥がしてスポット溶接やあて板を追加したりするのですが、ボディ全部(フル補強)するとそれなりに期間や費用がかかります。

車種によってウィークポイントがある場合があり、ラリー専門ショップやノウハウのある店だとそこだけ部分補強してくれます。

いざボディに亀裂が入ったりすると、修復不可能な場合もあるので、予防保守的に部分補強でもしておいたほうが、結果的に車は長持ちします。

それと補強のもう一つの利点が、ボディが硬くなることにより車の挙動がはっきりします。

走らせやすくなるし、足回りのセッティングも決まりやすくなるので、ボディ補強だけでタイムが上がった!なんてのも珍しくありません。

私は当時流行っていたサイドシル(ドアの下、前ホイールハウスから後ろホイールハウスまでの間)のウレタン補強をしたのですが、何が驚いたって、ショップから一般道に出た瞬間に違いが体感できました。

いや、大げさでも何でもなく。ブレーキが効くようになったのが一番の驚きポイントでしたね。

ただウレタン補強はレギュレーション違反になる可能性もあるので、事前にJAF競技規則で確認、分からない場合はショップに確認しておきましょう。

ロールバー

これは必須アイテム。車が転がった時に屋根が潰れたらシャレになりません。

車の屋根は荷重がかかることを想定した設計になっていない(多分)ので、すぐに潰れます。

ロールバーは形状や素材などによっていろいろ種類があるのですが、競技用ロールバーはJAF競技規則で素材や太さ、形状がカテゴリ毎に決められています。

一方、JAF競技規則とは異なる素材や太さのロールバーも市販されていて、練習用とか走行会用であればそれでもいいのですが、一度装着すると脱着するのは困難なので、競技に参戦する場合は必ず自分が参戦するカテゴリの規定に沿ったJAFかFIA規定のロールバーを装着してください。

それと装着作業は競技用ロールバー装着経験のあるショップに依頼することをお勧めします。

というのも、ロールバーは安全装備なのですが、一方でボディ剛性にも関与します。

人が接触する部分にはロールバーパッドを巻き、かつ、隙間が無いようにボディに沿って綺麗にロールバーを装着するのは相応の技術が必要だからです。

ちなみに6点式とか12点式とかのxx点は、ロールバーの支柱がボディに接続している数のことをいいます。

乗車人員を変更したくない場合は、競技規則に則る範囲内で4点式とか6点式を選択しましょう。

マッドフラップ

ホイールハウスの後ろにつける石跳ね防止のフラップです。
大体ウレタンでできていて、これをつけていないとフロントタイヤが掻き上げる石によってボディがボロボロになります。

FFだと前輪のみにつける場合がありますが、4WDの場合は4輪分装着しましょう。
なおマッドフラップの装着にもJAF規定があるので、ショップに装着をお任せすることをお勧めします。

ガード類

アンダー、タンク、デフ、ジョイント、パイピング、マフラー、バンパー etc
全て付けるに越したことはありませんが、最低でも必ずアンダーガードとタンクガートは装着してください。

ダートを走る場合の石の影響は大きく、ガードをしていてもガード自体が割れることもあります。
ましてや純正のオイルパンとか燃料タンクの強度なんて。。。
穴が空いた時の事を想像するだけでも怖いですね。

スペアタイヤ

なんでスペアタイヤがボディ関連かというと、スペアタイヤそのものではなくてスペアタイヤを収めるボディ側のスペースを考慮する必要があるから、なんですね。

最近の車はテンパータイヤといって予備用タイヤの収納スペースしかありません。

テンパータイヤで林道とかを全開で走る訳にはいかないのでラリータイヤを収納する必要があるのですが、ちゃんと固定できてかつ、すみやかに取り出せるように取り付ける必要があります。

重量配分も考えて室内リアシート部分に取り付ける場合が多いですかね。

ただロールバーの形状によってはタイヤを固定できない、もしくは取り出しが困難な場合があるので、取り付け場所や方法はショップに相談して決めましょう。

 駆動系

クラッチ

ラリーだと材質変更はOKだけど、基本的にツインとかトリプルはレギュレーションで禁止されています。強化しておくに越したことはありませんが、ほとんど半クラ使わない、クラッチ蹴らないのであれば、ノーマルでもイケると思います。

フライホイール

軽量タイプにすることによってエンジンの負担は減りますが、あまり軽いものにするとアイドリングが安定しない場合があります。予算との兼ね合いでノーマルのままでもいいと思います。

デフ

これは競技用に変更することを強く!お勧めします。

私の腕が無いせいかもしれませんが、ノーマルデフでダート林道のSSを走った時は真っ直ぐ走らないどころか車が安定しなくて恐ろしかったです。

4WDだとフロント、センター、リアと3箇所ありますが、少なくともフロントとリアは変更したほうがよろしいかと。

1Way、1,5Way、2Wayやプレート枚数、イニシャルの強さ等々、デフのセッティングはものすごい数の組み合わせがありますが、まずはショップや上級者に相談して決めるのがいいでしょう。

サスペンション

スプリング

車種によって競技用スプリングでも適正な範囲のレート(ばねの強さ)は決まっているので、まずはその範囲で選択しましょう。

それとできれば競技用として名の通ったメーカーをお勧めします。

私の経験ですが、一度ブランド不明なスプリングを装着した時にスプリングがヘタっていた(当初設計の長さより縮む)ことがありました。

しかもそれをラリー会場で指摘されて気づくという。。。(/ω\*)

このようなスプリングだとすぐに底づき(縮みきって路面のギャップを吸収できない状態)して危険です。

私の場合は幸いオールターマックのラリーだったので何とかごまかして走りましたが。

尚、スプリングを変更してそのまま車検を通す場合は、メーカーから出される強度検討書を付属して改造車検(いわゆるマル改)を受けなければなりません。

強度検討書はメーカーでないと作成できないのでご注意ください。

ショック

基本的にスプリングとセットで考えたほうがいいです。

ラリーは路面からの入力が強いので、耐久性が求められます。

WRCで使うようなショックだと最低でも一台分100万円くらいしますが、まずはラリー用ショック、予算に余裕があるようならラリー用別タンク式(通称:べったん)を選択したほうがいいでしょう。

安全装備

補助灯

夜間走行を考えると装着を強くおすすめします。ペースノートによほどの自信があれば別ですが、深夜の林道は真の暗闇、照らす光が強いに越したことはありません。車種によってはラジエターやオイルクーラーの冷却を考慮して取り付ける必要があるので、専門ショップに相談しましょう。

ブレーキパッド

ノーマルパッドでは効きが持ちません。SSがあるラリーでは必ず競技用パッドへ変更してください。メーカーも大体競技カテゴリ毎にパッドを販売しているので、必ずラリー用パッドを装着しましょう。

例えばオールターマックラリーしか出場しないからといってジムカーナやレース用パッドを装着しても、想定の効きが得られなかったり、効きが持たない場合があります。

ブレーキフルード

ノーマルだとDOT3ですが、ベーパーロック対策としてDOT4に変更しておきましょう。上述したブレーキパッド交換のタイミングで一緒に変更すれば、その分工賃が浮きます。DOT5だと吸湿性が高すぎてメンテナンスが大変です。DOT4でもおおよそ問題はありません。

室内装備

消化器

期限切れに注意。室内ですぐに取り出せる場所に固定します。だいたい助手席の足元が多いですね。

救急箱

室内ですぐに取り出せる場所に設置。

三停板

室内ですぐに取り出せる場所に設置。通常、レギュレーションで枚数が指定されています。

発炎筒

標準で車についているもので構いませんが、期限切れに注意。それとレギュレーションによって本数も指定されているので、それも注意。

ラリーコンピューター

必須装備。私の場合は4メーカーの製品が主流だったな。。。と調べてみたら、RC-NONOやF-ROMは生産を打ち切っていてJX-777も新規販売は行っていないようですね。

なので、今新品で購入できるのはカーショップCOMPEのCRT-4500か世界の新井、アライモータースポーツのmonitだけのようです。主に国内ラリー向けでCRT-4500、インターラリーへの参戦も視野に入れるのであればmonitでしょうか。

CRT-4500

monit

主観ですが、モータースポーツ人口の減少とそれに伴うラリー競技人口の減少で今後もラリーコンピューターの新モデルは発売されないでしょう。

私はカーショップCOMPEのチーム員でCRT-4500を使っていましたが、振動する社内でも押し間違えないようなボタン設計等、ラリー専用コンピュータだけに素晴らしい操作性でした。

斎藤社長元気にしてるかな。。

ちなみにCRT-4500の4500はCOMPEの最初の事務所の電話番号の下4桁で、COMPEのチーム員でも由来を知っているひとはあまりいません。普通の人にはなんのことやらなトリビアですが。。

閑話休題。

ラリーコンピューターはラリーを専門にしているモータースポーツショップが取り扱っている機種でよろしいかと思います。

ナビランプ

ラリーは夜間に行われる場合もあるので、コマ図やペースノートを見るためのコドライバー(ナビ)専用のランプが必要となります。

光でノートを照らせればどこに取り付けてもいいかというとそうでもなくて、高い位置に取り付けてしまうとナビランプの光がフロントウィンドウに写りこんでドライバーの視認性を妨げてしまうので、できるだけ低い位置に取り付けるほうがいいでしょう。

シート

ノーマルシートでも構いませんが、できればドライバーだけでも競技用バケットシートの装着をお勧めします。身体を確実にホールドしてくれるので、身体のずれによる運転操作ミスは無くなります。

シートベルト

必ず競技用シートベルト(4点式以上)を装着してください。
標準の3点式だと身体が固定されず危険です。

4点式以上であれば基本的にOKなのですができれば5点式以上をお勧めします。

私は4点式を使っていたのですが、腰ベルト(おなか周りのベルト)がずり上がってしまいあまり良くありませんでした。

腰ベルトは太ももの付け根の骨(大腿骨頚部)の若干下あたりで固定されるのが望ましく、腹部にきてしまうといざという時にベルトでお腹を圧迫して危険です。

その点、5点式以上であれば股ベルトが座席の下から通って腰ベルトを固定するので、腰ベルトがずり上がることはありません。

ただし、5点式以上はそれに対応した専用の競技シート(座面にベルトを通す穴がある)が必要です。

で、5点式と6点式どちらがいいかというと、男子は6点式をお勧めします。

5点式だと股ベルトが男子の急所の上にきてしまうので。。。

インカム

必須アイテムです。ヘルメットを装着したままドライバーとコドライバーが会話するための装備で、これがないと声が枯れてしまって一晩もちません。ヘルメットとセット販売しているメーカーもあるので、ヘルメットも購入する場合はそちらも検討したほうがいいでしょう。

フットレスト

コドライバーが踏ん張るための足元に設置するプレートです。なくても大丈夫ですが、あるとコドラが喜びます。一晩中走るので、あるのと無いのとでは疲労度が全然違うのです。経験者である私が断言します。

小物入れ

コドライバーのための小物入れです。コマ図やペースノート、それらに書き込むための下敷き、マーカー類etc コドライバーが携帯する持ち物は以外に多く、それらを整理するためのボックスを車内に設置します。

無くても競技に参加はできますが、無いとコドライバーが不便極まりありません。
一晩中手に持ってないといけなくなるので。

必須装備と考えましょう。

ステアリング

基本的に径が36 Φ(360mm)以上あれば車検は問題ないと思うので、握りやすさや材質で他メーカーのものに変更しても構いません。

留意点としては、

・ホーンボタンを明記する。

・ディープコーンタイプ(ステアリングが手前に来るタイプ)は強度が足りない場合があるので、基本はシート位置で調整する。

・バックスキンタイプは耐久性が若干劣ることがあります。

ぐらいですかね。

個人的にはノーマルでも問題ないと思います。

ヘルメットハンモック

SSや指定ハイアベレージ区間(ハイアベ)以外の移動区間(リエゾン)中はヘルメットを脱ぎます。というか、脱がないと頭が蒸れて耐えられましぇん。。。

脱いだヘルメットを車内に置いておくための、文字通りハンモックのことをいいます。

別にハンモックでなくてもいいのですが、ヘルメットは結構かさばるので置く場所が以外と無いのです。

ちなみに公道をヘルメットをしたまま走っても問題は無いと思います。。。

エンジン

エンジンコンピューター

ターボ車だとエンジンコンピューターを変更(チューニング)するだけで、馬力が大幅に変わります。車検の必須点検項目にコンピュータは無いのですが、ディーラーで整備が受けられなくなる場合がありますので、ノーマルコンピュータに戻せるようにしておきましょう。

ラリーカーの場合は、ピークパワーよりはターボラグを無くすアンチラグシステムの一環としてエンジンコンピューターを変更する場合がほとんどです。

システム一式で100万円近くしますが、ターボラグは無くなりエンジンパワーが上がったように感じます。

ただアンチラグシステムはアクセルオフ時でもタービンを回すために未燃焼ガスをエキマニに送って燃焼させるので、タービンや吸排気系へのストレスがすごく寿命が短くなります。またセッティングによってはマフラーから火を噴きます!(ミスファイヤリングシステムとも言われる所以です)

いずれにせよラリーベースの車は基本性能が高いので、初・中級ラリーであればノーマルエンジンでもいいと思います。

エアフィルター

ダート林道とかで埃を吸う機会が圧倒的に多くなるので、エンジン保護のためにもノーマルか、変更するとしてもラリー専用タイプを強くお勧めします。

ダートラ

ダートラ車も基本的にラリーカーと同じと考えて構いません。

ダートラ車の場合は整備されたダートコースを走るので、ボディや下回りへのストレスはそれほどなく、例えばアンダーガードはラリーカー用から肉厚を薄くして軽量化したり材質を変更したものがダートラ用として販売されています。

基本的に装着/変更するのは、

◇スプリング
◇ショック
◇デフ
◇ブレーキパッド
◇ロールバー
◇ガード類の装着(場合によって)

ですが、最初はあまりこだわることなく車種ごとのおすすめセットにしてまずは練習会で練習することをおすすめします。

最初はダートの上で車をコントロールするのも大変なはずですから、練習会である程度タイムを出せるようになってから初級競技会、そして中級競技会に出場するようになってからセッティングを見直してもいいでしょう。

ジムカーナ

とにかく車を曲げる(場合によっては360度ターン)必要があるので、足回りとデフのセッティングが最初からある程度重要になります。

サイドターンやブレーキングターンもそうですが、360度ターンとかのターン技術を習得するためには相当の練習が必要です。

基本的に装着/変更するのは

◇スプリング
◇ショック
◇デフ
◇ブレーキパッド

でいいので、まずはおすすめのセッティングにしたらひたすら練習あるのみ!ですね。
練習会に積極的に出て上級者に教わるのも上達の近道です。

なお、タイヤサイズは変更する場合が多いのですが、純正サイズと外径が異なってしまってスピードメーターが狂わないように注意する必要があります。

関連ページにタイヤサイズ毎の対応表をまとめてあるのでこちらも参考にしてください。

タイヤのインチアップ適合表

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